100人の仕事観

【喫茶とヴィンテージ雑貨 サイドロップ】ケイコさん&ヒロコさん

郷愁と、温もりと、きらめきと―。

カラフルなアメが詰め込まれた「ドロップ」缶のように、さまざまな味を楽しむことのできる「サイ(=西院)」の店、サイドロップ。

純喫茶として美味しい料理と飲み物が提供されているのに加え、店内では古道具やヴィンテージ雑貨、ジュエリー等の展示販売、洋服のセミオーダー受付も行われています。

10月10日に開店から6周年を迎えました。

木の風合いがあたたかく、やわらかい陰翳を宿したレトロモダンな空間にきらめくシャンデリア。

BGMとして流れる70年代の洋楽は今なお新鮮で、永遠という言葉を思わないではいられない、濃厚な時間が流れていきます。

ホンモノの美しさが散りばめられた宝石箱のような空間でゆったりくつろいでいると、自分の内に眠るときめきが、希望が、目覚めていくようで不思議。

「女性のあこがれ、必要、生活がここで完結できるようなお店」「女性のワンダーランド」でありたい―。

サイドロップをプロデュースするケイコさんとヒロコさんは、そう語ります。

もともと着物の職人として16年のキャリアを持ち、古道具のエキスパートでもあるケイコさん。
ジュエリーのコーディネートに卓越した美的センスを発揮されているヒロコさん。

店内の細部にいたるまで、二人の美意識とこだわりが行き届いています。

今後は、ジュエリーに合う着物のプロデュースに力を入れていくのだとか。
二人のコラボから生まれる新しいスタイルの和装に期待が膨らみます。

今回は、そんなケイコさんとヒロコさんに仕事観をうかがってきました。

お店のホームページも昭和レトロモダンなテイストたっぷり。写真は幼少期のケイコさんとお兄さんなのだそう。

「美味しい!」「嬉しい!」「楽しい!」と言ってもらえる喜び

―Q1 仕事をしていて、やりがいを感じるのはどんな時ですか?

ケイコさん
 やっぱりみんなが美味しいとか嬉しいとか言うてくれた時ですね。

ヒロコさん
 そうやんな。
 美味しい、嬉しい、楽しい。そういう言葉聞くと、すごく嬉しいね。

ケイコさん
 やっぱり単純に、美味しいと言うてくれるのが一番嬉しいね。

ヒロコさん
 常にどうしたら美味しくなるかっていうのを考えてるんでね。
 あと、落ち着く、落ち着いておしゃべりできるって言ってくれはったり。

土曜日曜は「戦争」

―Q2 仕事をしていて、つらいと感じるのはどんな時ですか?

ケイコさん
 疲れた時。

ヒロコさん
 嬉しい悲鳴なんですけどもね、混み合っている日は、お昼を夕方に食べるっていうときもあるし、食べる時間も、ちょっと座る時間もないんですよ。

ケイコさん
 だから平日大好き(笑)

ヒロコさん
 そう。本当にそうなんです。

ケイコさん
 平日でも昨日みたいなのはめっちゃ忙しいんですよ。ちょうど金曜日が狭間みたいにちょっと暇になるんです。花金は、うちより飲み屋さんなんで。

ヒロコさん
 土曜日日曜日なんて、戦争ですよ。

ケイコさん
 やっぱりこういう平日がないとできません。

ヒロコさん
 私たち年いってるんでね。

美味しくて当たり前、その上で気配りが出来て初めてプロ

―Q3 仕事をする中で大切にしているのはどんなことですか?

ヒロコさん
 私はね、出会いを大切にしたいな、と思ってます。
 色んな方来てくださいますし、たいがい来てくださった方のお顔を覚えてたりするんです。だから「この間も来てくれはりましたよね?」っていうとすごく喜んでくれはるんです。「覚えててくれはったんですか」って。
 ちょっとした何時間の間ですけど、やっぱり気持ちよく帰っていただくっていうのが大切かなって思ってます。ね?

ケイコさん
 私も、まあ似たようなもんですけど、やっぱり気配りです。

ヒロコさん
 すごく気配りしはります、彼女は。

ケイコさん
 もともとが職人さんやって、そのあと老人福祉の仕事をやってたので、やっぱり自分で声を出せへんお年寄りとか、自分で意思疎通が出来ひんおばあさんおじいさん見てきてますでしょ。その時に上司の人に言われたのが、「出会いは30秒で決まる」っていう言葉。30秒の間にその人が何を欲しているのかが分からんとあかんって言われたんで、その言葉、いまだに覚えています。そやな、と思いました。
 たいがい私は厨房にいますけど、お客さんが大体何を感じてはるかが分かったら、自分が料理してて手放せへんかったら、この人(ヒロコさん)に行ってもらったりとかね。
 気配りやね、一番大事なんは。言われてからでは遅いし、言わはる前に分からないと。それが私らのお商売やから。美味しくて当たり前、その上で気配りっていうのが出来て初めてプロなんやから。それだけですね。

夢と希望を届ける「西院の母」

―Q4 仕事を通じて、どんな方にどんな幸せを届けたいですか?

ケイコさん
 やっぱり希薄な世の中でしょう?だからその中で一番将来のある30代とかの子に、夢をもたせてあげたいので、世の中そう捨てたもんやないよっていうことは感じさせてあげたいな、と思ってます。よう来てくれてる子はそれを感じとってくれてるみたいですね。西院の母と呼ばれてます(笑)。

ヒロコさん
 ほんまやな。母の日に花もってきてくれるな。何でも相談に来ます。

ケイコさん
 入ってきた瞬間に顔の表情を見たら分かりますからね。なんかあったんやなっていう。でもまあ、自分から言わん限りこっちからは根ほり葉ほりは聞かないんで、距離感は大事にしていますね。

ヒロコさん
 お客さんもよく言ってくれはるんやけども、綺麗なものを見るとすごく癒されるって。高いもんは買えへんけども、見るだけで気持ちが癒されるって言ってくれはるお客さん、いはるんですよ、女性の中に。ずーっと見ていて、「はあ~、きれいやなあ~。気持ち癒されるわ」って言ってくれはると、私も嬉しいです。
 お客さんの気持ちを癒してあげたいなって思ってます。綺麗なもので気持ちが高揚するっていうのもありますし、刺激をもらえるって言っていただけると、私も刺激になるし、そういうことで幸せな気持ちになってもらえたらいいなと思ってます。

自分が自分らしくいられる仕事に感謝

―Q5あなたにとって仕事とは?

ケイコさん
 自分が自分らしくいれる一番必要なもんやと思う。仕事ついてなかったら、ただの変なおばさんです(笑)。

ヒロコさん
 私いっつもそれ言われてるんですよ。ほんまにそう思うんです。お店しなかったら、ほんまに変なおばさん(笑)。

ケイコさん
 だから仕事にはいつも感謝しいやっていつも言ってる。

ヒロコさん
 私、昔から生活感がないとか浮世離れしてるとか色んなこと言われてるけども、この仕事してる時は、自分に合ってるなとも思うし、自分らしくいられる場所やなって思う。ほんまに、これがなかったら変なおばさんやと思います(笑)。

看板猫のアメちゃんはお店と同い年の6歳の男の子。雑誌の取材もたびたびこなし、日本全国にファン多数。ファンの視線を一身に集めながら悠然と店内に現れるアメちゃんは、さながらスターのようなオーラを放ち、その存在感はジュエリーにもシャンデリアにも負けません。

初めてのお客さんはたいてい驚きます

―最後に、お店のPRの言葉をお願いします

ケイコさん
 ゆったりとしたくつろぎの空間で、懐かしい曲を聴きながら美味しいコーヒーをどうぞ。

ヒロコさん
 初めて来られたお客さんは、お店に入るとたいてい驚かれます。キラキラした夢の時間をお楽しみください。

喫茶とヴィンテージ雑貨 サイドロップ
京都市中京区壬生西土居ノ内町22⇒地図
【アクセス】阪急/嵐電「西院駅」から徒歩1分
      京都市バス「西大路四条」から徒歩1分
【電話】075-925-8009
【営業時間】10:00~20:00
【定休日】毎週火曜日・第一日曜日
【HP】http://www.saidrop.com
【Facebook】https://www.facebook.com/saidrop.amechan

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